IT関連契約書

1 IT契約は少し異質?

IT契約書 IT(情報技術)に関する契約は難しいといわれています。なぜなら、ITに係る技術の発展があまりに急速であること、またIT機器の多様化でパソコンは言うに及ばず、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末等、今や誰でもが何かしらの通信機器でインターネットを通じて世界と繋がることができると、「できること」さえ多様化して我々の想像を超える世界が昨日今日で変わってしまっている現実があるからでしょう。

 さらには、近年オープンソース(Open Source)の流れが加速しており、これを利用して職業プログラマ(いわゆる“プロ”でない一般の人々優秀なソフトウェアやUI(User Interface)を開発でき、これをインターネットを通じて世界に公開します。それを利用してまた誰かが優秀なソフトウェアを開発しては公開・・・これらを“プロ”が利用して開発し製品とする現実もあります。
 (当サイトも世界の優秀なプログラマの方々のお力をお借りしてできています)

 要するに、世界70億人中の相当数がプログラマたりえる現代で、さらなる技術革新は我々の遥か彼方に進んでいるとしても、IT取引に関わる契約は当然に必要であり、しかしその内容は現時点のスタンダードに即したもの、かつ当事者双方がその特殊性をも理解した上での契約でなければなりません。

2 IT契約の特殊性(特徴)

 そこで、ここからはIT取引に係る契約書を作成するにあたり押さえておきたい事項などをみていきたいと思います。

(1) 技術情報の格差がある
 依頼者と受託者との技術情報面での格差が大きいことがよくあります。依頼者は、受託者から専門用語でたたみかけられても理解できない場合が多いものです。

 ですから、本件業務の内容を依頼者にわかりやすい言葉で説明し、必要であれば仕様書やマニュアルなどの資料も交えてお互いの認識のレベルを合わせることが合意の早道ですね。

(2) 成果物がわかりにくい
 表向きに見える部分と裏に潜んで見えない部分があってわかりにくいところがIT成果物(制作物)の特徴です。

 ホームページひとつとってみても、表向きは美しくカッコいいデザインですが、いざ使ってみると動作が思っていたものと違う、要望していた機能がある場合は予想外の動きをする等々、動かしてみて初めて不具合が見つかることが多いものです。中には、依頼者の要望よりも受託者側の理屈を押し付けて「この方がいい」などと言う受託者も悲しいかな存在します。

 残念ながら、納品時点で全てのバグ(欠陥)に気付けていることはまずないと言っていいでしょう。だからこそ、受託者は依頼者に対して成果物の内容できること/できないこと、バグによる不具合には無償で迅速に対応する等の丁寧な説明が必要となります。

(3) トラブル多し
 上記(1)(2)が特徴であることから、当然ながらトラブルも増えます。双方の意思疎通や信頼関係が十分でないことが要因の大半ですが、特に、なかなか依頼者が意識しない動作環境の違いや、複数のプログラムの連係上で起こる不具合などは、依頼者側としてみれば原因は不明、もっといえば感知し得ない部分であり、それはクレームの対象とならざるを得ません。

 ほかにも、エラーやダウン(稼動停止)多発処理時間が長い要望通りの機能がないトラブル対応が遅い費用対効果がみられない・・等々クレーム要因は多岐にわたりますが、特に上記(1)(2)を踏まえた密なコミュニケーションが欠かせないでしょう。

(4) 開発者マネジメント
 IT関連ビジネスでは、一つの案件に複数の事業者や担当要員(協力会社等)が集まって1チームを構成して当たるケースが多いです。したがって、これを束ねる親事業者は高度なマネジメント能力が求められることとなります。

 特に、依頼者の営業秘密等の扱いについては慎重の上にも慎重を期す必要があります。依頼者側からみればどこの誰がどの部分を担当しているかわからず、その場合の秘密情報は誰に提供される可能性があるのか等、正確に把握しておきたいものです。

 これらを踏まえ、当該案件に係る協力関係を考慮した契約のしかたを考える必要があるでしょう。

(5) 電子契約の利用
 例えば、ネットショッピングASP(ネットワーク経由でのアプリ提供サービス)契約などは、一事業者に対し複数顧客との契約というカタチになるため、そのひとりひとりと個別の契約書を交わすのではなく、オンライン上の利用規約」への「合意という方法をとる場合が殆どでしょう。

 その際、確認用のチェックボックスを設置し、それにチェックしたことで合意した意思表示の証拠とする手法が一般的です。

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