クーリングオフ

 クーリングオフはその適用期間があります。短時間できちんとした処理をしなければなりません。早めに内容証明郵便で処理する準備にかかりましょう。

1 クーリングオフとは?

クーリングオフ 消費者が無条件に売買契約を解除できる制度です。
 例えば、訪問販売や電話勧誘販売などのように、突然やってきた販売員に商品を売り込まれ、よく考えもせずに必要もないモノを買ったり、後で驚くほど高額な買い物をしてしまったり、契約してしまったとします。

 その場合に、少し頭を冷やして考え直す期間を設け、その期間 内に書面で契約解除の旨を販売業者に通知すれば、無条件解除(解約)できるという消費者保護の制度です。

 この権利を行使するために、内容証明郵便を使ってクーリングオフの意思表示をするわけです。なぜなら、クーリングオフを行使できる期間は限られており、 間違いなくその期間内にクーリングオフの意思表示をしたという証拠が必要だからです。

 クーリングオフをすると、その契約ははじめからなかったことになります。
 従って、

  • 支払った代金は全額返金され、違約金等も請求されない
  • 商品等を受け取っている場合は、送料など引き取り費用の負担や、工事などを始めていても販売業者の費用で元通りにしてもらえる(販売業者の原状回復義務

ということになります。

※但し、「連鎖販売取引」については、事業者・消費者双方原状回復義務を負うことになります。
(事業者は支払われた代金、取引料を返還し、消費者は引渡しを受けた商品を事業者に返還しなければなりません)

2 クーリングオフの適用取引形態・期間

 クーリングオフ制度はいくつかの法律によって定められていますが、ここでは特に「特定商取引に関する法律(特定商取引法)」に規定されているものをご紹介します。

 この法律は、昔は「訪問販売法」と呼ばれ、訪問販売・通信販売・連鎖販売取引(マルチ商法)の規制から、その後の消費者の被害やトラブルの急増に対応するため様々な改正が行われ、平成13年6月から特定商取引法と改称され平成21年(2009年)12月1日には大きな改正が行われ現在に至っています。

 この法律に則り、規制対象取引とクーリングオフできる期間が定められています。

取引形態起算日期間
訪問販売
電話勧誘販売
特定継続的役務提供
訪問購入
※平成25年2月21日施行
クーリングオフできることを記載された書面を交付された日(を含む)8日間
連鎖販売取引
(マルチ商法)
クーリングオフできることを記載された書面を交付された日、又は最初の商品を受け取った日、のどちらか遅い日(を含む)20日間
業務提供誘引販売取引
(内職、モニター商法)
クーリングオフできることを記載された書面を交付された日(を含む)

※上記にいう書面の交付を受けていない場合は、起算日がまだ始まっていないので、いつでもクーリングオフができます。
尚、クーリングオフを通知する書面は、上記期間内に発信していれば有効です。(つまり、業者に届いた日が上記期間を過ぎていてもOKです)

◆ 特定継続的役務提供とは?

 次の6役務で、関連商品代金を含めた契約総額が5万円を超えるものが対象とされています。

特定継続的役務役務提供期間関連商品
(契約締結時の交付書面に記載されたもの)
エステティックサロン1ヶ月を超えるもの健康食品、化粧品、石けん、浴用剤、下着、電気・電磁波・超音波を用いる美容器具・装置
語学教室2ヶ月を超えるもの書籍、電磁的・光学的教材、FAX、テレビ電話装置
家庭教師派遣(通信指導等含む)2ヶ月を超えるもの同 上
学習塾2ヶ月を超えるもの同 上
パソコン教室2ヶ月を超えるものパソコン、ワープロ、その部品・附属品、書籍、電磁的・光学的教材
結婚情報紹介サービス2ヶ月を超えるもの真珠、貴石、半貴石、指輪、その他装身具

◆ 訪問購入とは? ※平成25年2月21日施行

 いわゆる「押し買い」を規制すべく、特定商取引法で消費者トラブルが生じやすい取引類型として今回7番目に追加されたものです。

 そのルールを以下に簡単にご紹介します。

1.不招請勧誘の禁止
飛び込み勧誘は禁止です。消費者から「査定」や「見積り」を求められても、その場でそれを超えた勧誘をしてはなりません。
→ 但し、「売るから来てほしい」と前もってその意思表示が明確な場合は規制の対象外となります。
2.勧誘目的の明示義務
勧誘する場合は、事業者名や勧誘する物品の種類などを明示しなければなりません。
3.勧誘を受ける意思の確認義務
消費者から勧誘の要請を受けて訪問しても、その前に勧誘を受ける意思があるかを確認しなければなりません。
4.再勧誘の禁止
一度取り引きを断った消費者への再勧誘は禁止です。
5.書面の交付義務
対象物品の種類や価格、引渡しの拒絶やクーリングオフに関する事項などが記載された書面を交付しなければなりません。
6.引渡しの拒絶
クーリングオフ期間中(上記5.の書面の交付から 8日間)は物品の引渡しを拒むことができます。売り主(消費者)が今一度冷静になって考える期間というわけです。
7.クーリングオフが可能
上記5.の書面の交付から 8日間であれば、売り主(消費者)は無条件で契約を解除することができます。
8.クーリングオフ期間内の物品引渡しに関する通知義務
クーリングオフ期間内に、事業者が第三者に物品を引き渡す場合は、当該第三者にクーリングオフの対象物品であること等を通知しなければならず、また売り主(消費者)にもその旨を通知しなければなりません。

※対象物品 … 原則、全ての物品が対象
 但し、

  • 売り主の利益を損なうおそれがない
  • 流通が著しく害されるおそれがある

と認められる以下の物品は、政令で規制の対象外とされています。

【適用除外】

  • 自動車(二輪を除く)
  • 家電(携行が容易なものを除く)
  • 家具
  • 有価証券
  • CDやDVD、ゲームソフト類

3 クーリングオフのできる場合、できない場合

 クーリングオフをするには重要なポイントがあります。

 平成21年改正法の施行前までは、政令で指定されている規制対象商品・役務・権利のみをその対象としていましたが、同改正法施行後は原則として全ての商品・役務が対象(ただし、指定権利は残る)となりました。

指定権利具体例
保養のための施設又はスポーツ施設を利用する権利リゾート会員権、ゴルフ会員権、スポーツ会員権
映画、演劇、音楽、スポーツ、写真又は絵画、彫刻その他の美術工芸品を鑑賞し、又は観覧する権利映画チケット、演劇チケット、音楽会チケット、スポーツ観覧チケット、写真展チケット、美術展チケット
語学の教授を受ける権利英会話サロン利用権

 ただし、中にはクーリングオフになじまない商品・役務もあり、それらは必要に応じて規制の対象外としています(「適用除外」といいます)ので注意が必要です。

  • (1)売買契約したときの状況により、できる場合とできない場合がある
  •   具体的に「できない場合」を見てみましょう。
  • 自分の意思で店舗に出向いて買った(契約した)場合
    (但し「特定継続的役務提供」は除く)
  • 営業を目的とした契約(但し、マルチ商法は除く)
    ∵一般消費者を保護する趣旨
  • 自らが契約の意思をもって業者を来宅させ、こちらから契約の要請をした場合
    → 「訪問販売」に当たらない
  • 自らが契約の意思をもって業者に電話をさせた場合
    → 「電話勧誘販売」に当たらない
    (但し「特定継続的役務提供」契約は除く)
  • 通信販売
     これは何故かというと、消費者に充分熟慮する時間があるからです。通販本や広告を見て、納得した上で注文した訳ですから 消費者側にとって不利はないと考えられ、クーリングオフも適用されないのです。 ただし、返品の可否や条件について必ず広告に表示するよう定められているので、その表示がない場合、商品の引渡しを受けた日から8日以内であれば、消費者が送料を負担して返品することができます。
  • (2)政令指定消耗品
  •   開封すると商品価値がほとんどなくなってしまうものを開封・使用した場合
  1. 動物および植物の加工品でいわゆる「健康食品」等と呼ばれているもの(医薬品を除く)
  2. 不織布、織物(幅13センチメートル以上)
  3. コンドーム、生理用品
  4. 防虫剤、殺虫剤、防臭剤、脱臭財(医薬品を除く)
  5. 化粧品、毛髪用剤、石けん(医薬品を除く)、浴用剤、合成洗剤、洗浄剤、つや出し剤、ワックス、靴クリーム、歯ブラシ
  6. 履物
  7. 壁紙
  8. 配置薬
  • (3)注文後、直ちに提供されるサービス(役務)の場合
  •  → いちいち契約書面を交付できない、提供途中にクーリングオフをされては商売あがったり!
  • いわゆる海上タクシー等による輸送
  • 飲食店での飲食の提供
  • あん摩、マッサージ等の施術
  • カラオケボックス等の利用
  • (4)通常よく熟考して購入等するもの
  • 自動車販売(二輪のものを除く。)
  • 自動車リース
    日常生活において必要不可欠 あるいは 突発的事情に対し迅速な対応が必要
  • 電気・ガス・熱の供給
  • 葬式のための祭壇の貸与その他の便益の提供
  • (5)クーリングオフできる期間が限られている
  •  前出2.クーリングオフの適用取引形態・期間参照
  • (6)3,000円未満現金一括支払い

ご相談はこちらまで

※当事務所では、クーリングオフに係る内容証明郵便の作成を承っております。お気軽にご相談ください。

4 その他のクーリングオフ制度

 特定商取引法で定められているクーリング・オフ制度以外にも、クーリング・オフ制度または同様の制度が設けられている取引があります。

取引形態適用対象期間
生命・損害保険契約
(保険業法309条)
店舗外での、契約期間1年を超える生命保険・損害保険・傷害疾病定額保険契約(共済も含む)8日間
宅地建物取引
(宅地建物取引業法37条の2)
店舗外での、宅地建物取引業者が売り主となる宅地建物取引8日間
冠婚葬祭互助会契約
(業界標準約款)
店舗契約を含む、冠婚葬祭互助会の入会契約8日間
預託等取引契約
(特定商品預託法8条)
店舗契約を含む、指定商品の3カ月以上の預託取引14日間
投資顧問契約
(金融商品取引法37条の6)
店舗契約を含む、金融商品取引業者との投資顧問契約10日間
個別クレジット契約
(割賦販売法35条の3の10、35条の3の11)
訪問販売・電話勧誘販売・特定継続的役務提供の契約にともなう個別クレジット契約8日間
連鎖販売取引・業務提供誘引販売取引の契約にともなう個別クレジット契約20日間

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