相続税と贈与税

※以下は参考程度にご利用ください。より正確な内容は税理士等の専門家にご確認ください。

1 相続税と贈与税の違い

税金

 相続税は、被相続人が亡くなって相続が発生したときに、遺産を相続した人に課される税金です。これに対し贈与税は、贈与者(贈与をする人)が生きている間に受贈者(贈与を受ける人)に財産を与えた場合(生前贈与)に、その贈与によって生じた財産に課される税金です。

 そこで、以下に相続税と贈与税の税率等を比較してみます。

 ◇相続税贈与税の速算表

相続税税率贈与税(暦年課税制度の場合)
法定相続人の取得金額(*1)控除額基礎控除後の課税額(*2)控除額
~1,000万円以下

0

10%~200万円以下

0

1,000万円超
  ~3,000万円以下

50万円

15%200万円超
  ~ 300万円以下

10万円

3,000万円超
  ~5,000万円以下

200万円

20%300万円超
  ~ 400万円以下

25万円

5,000万円超
  ~ 1億円以下

700万円

30%400万円超
  ~ 600万円以下

65万円

1億円超
  ~ 2億円以下

1,700万円

40%600万円超
  ~1,000万円以下

125万円

2億円超
  ~ 3億円以下

2,700万円

45%1,000万円超
  ~1,500万円以下

175万円

3億円超
  ~ 6億円以下

4,200万円

50%1,500万円超
  ~3,000万円以下

250万円

6億円超~

7,200万円

55%3,000万円超~

400万円

(*1)相続財産の課税価格合計から※基礎控除額を差し引いた残額(課税遺産総額)に対する法定相続人各々の取り分
基礎控除額3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)
(*2)その年の1年間(1月1日~12月31日)に贈与を受けた財産の価額の合計から基礎控除額110万円を控除した残額(本表は「一般贈与財産」の場合)

 単純に一見して贈与税の方が税率が高い!と感じた方もいらっしゃると思います。

 相続税は「相続税法」という法律で規定されていますが、贈与税は「贈与税法」なる法律ではなく(そんな法律は無い)、これも相続税法に規定されています。なぜなら、贈与税制度(暦年課税制度)は相続税を補完するための税制度として設けられたものだからです。

 例えば、被相続人が生前に配偶者や子供、あるいは他人に財産を贈与することで、相続開始時点での相続財産価格が小額であれば相続税がかからなかったり、かかっても軽い負担で済んでしまいます。このような、生前贈与による税負担上の不公平が生じることを防止する趣旨が贈与税制度にはあります。

2 各税制度における軽減・優遇等措置

(1)相続時精算課税制度

 この制度は、財産の生前贈与を受けた際にその贈与税を一旦納め、その後の相続時にその贈与財産と相続財産とを合計して計算した相続税額から、既に納めた贈与税額を控除するができるというものです。適用対象者は、65歳以上の親から20歳以上の子への生前贈与に限られます。

 高齢化が進む今日では、相続による次世代への資産の移転が遅れる現状にあります。そこで、生前贈与による資産移転をスムーズに行えるようにすることで、受贈者(子)の消費を促進し、ひいては経済社会の活性化を期待して本制度は創設されました。

相続時精算課税制度通常の贈与(暦年課税制度)
贈与者60歳以上の親(父母それぞれについて適用)又は祖父母。但し、住宅取得資金の場合は制限なし
※贈与年の1月1日現在の満年齢
制限なし
受贈者20歳以上の子(代襲相続人含む)及び孫
※同上
制限なし
贈与時非課税枠贈与者ごとに生涯に亘り2,500万円(特別控除)受贈者ごとに毎年・年間110万円(基礎控除)
計算期間届出後、相続開始まで暦年(1月1日~12月31日)
贈与税の納税期2,500万円を超えた贈与時ごとに納税し、相続時に精算暦年単位
税額(贈与額-2,500万円)× 20%(贈与額-110万円)× 累進税率※
※上記1.参照(6段階)
相続時の課税方法相続財産価額+贈与財産価額(贈与時の時価)に対して課税毎年の基礎控除額(110万円)以内の分は非課税。但し、相続開始前3年以内の贈与財産は相続財産に合算して相続税を計算
節税効果等① 2,500万円の非課税枠内での大型贈与がし易い(枠内であれば何度でも可)
② 贈与額が2,500万円を超えた場合の贈与税は、相続時に相続税額から差し引かれ、相続税額が少ない場合は差額が還付される(相続時精算
① 贈与税の基礎控除(110万円)は毎年使え、非課税
② 数年に亘り多人数に贈与すれば大型の贈与が可能であり、結果的に相続税負担が軽減できる
制度移行相続時精算課税制度の選択後に通常の贈与への移行は不可通常の贈与から相続時精算課税制度への移行は可能

 本制度は、受贈者(子)の選択により適用することができます。また、贈与財産についてその種類、金額、贈与回数に制限がありません。

(参考)国税庁HP No.4103「相続時精算課税の選択」

(2)相続時精算課税選択の特例

 平成27年1月1日から平成31年6月30日までの間に、親から住宅取得等資金(*1)の贈与を受けた20歳以上(贈与を受けた年の1月1日時点の満年齢)の子が、一定の要件を満たすときは親(贈与者)の年齢が60歳未満であっても相続時精算課税制度を選択することができます。

(*1)贈与を受けた者(子)が、自分が居住する一定の家屋の新築・取得又は自分が居住している家屋の一定の増改築等に充てるための金銭

1 適用要件(抜粋)

  1. 受贈者が贈与を受けた年の1月1日時点で20歳以上であること
  2. 贈与を受けた年の翌年の3月15日までに、一定の家屋の新築又は取得・一定の増改築等をして自己の居住の用に供した、あるいは居住の用に供することが見込まれること
  3. 新築又は取得する家屋の登記簿上の床面積は50平方メートル以上であること
  4. 中古住宅購入の場合、家屋の構造(耐火建築物か否か)によって制限あり
  5. 増改築等の工事に要した費用は100万円以上であること、増改築後の家屋の床面積は50平方メートル以上であること

2 税額計算

 平成27年を例にあげますと、相続時精算課税制度の非課税枠2,500万円に、下記「住宅取得資金の贈与の非課税枠」分の1,000万円(省エネ性・耐震性住宅であれば1,500万円)を加えた3,500万円(同4,000万円)を贈与財産額から控除することができます。

 ◆住宅取得資金の贈与の非課税枠

贈与を受けた年平成27年平成28年1月1日~平成29年9月30日平成29年10月1日~平成30年9月30日
省エネ性・耐震性を満たす住宅1,500万円 1,200万円
(1,500万円)
 1,000万円
(1,500万円)
上記以外の住宅1,000万円  700万円
(1,000万円)
  500万円
(1,000万円)

※( )内は東日本大震災被災者の場合

(参考)国税庁HP No4503「相続時精算課税選択の特例」

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